林明子さんの本

ナイトメアということでちょっと書きとめておこうと、このところ思っていたのだが子どもが割と好きな絵本でも、読んで聞かせるのに一瞬ためらいのあるものがある。「こんとあき」や「あさえとちいさいいもうと」が私にとってはそうだ。「おふろだいすき」もややこちらよりだ。
「はじめてのキャンプ」はOK。「おいていかないで」もひっかからない。
どう違うかというと、大人のまなざしの不在をひしひしと感じるかどうか、ということだと思う。
筒井頼子さんとの本の絵は大好きなのだが、子どもの愛らしさの表現ゆえになおさらどっきりする場面がある。昭和40年代の日本の子どもだったらごく普通の日常光景を淡々と描いてるだけだが、これが普通であるからこそ、世代として次に伝えていくのに今ではややこしいことがあるかもしれない。「あさえとちいさいいもうと」は扱うのが難しいと感じる。


「こんとあき」は究極、熱にうなされてみる夢で、目がさめて「よかった!」とそばのぬいぐるみを抱きしめて安堵するというイメージだ。こうしたものをてがかりに、時に子どもはすれすれのところをすり抜けて育っていくものだとも思うけれど、大人としてはちょっと痛いところがあるのだ。